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ここでは、トリプルネガティブ乳がんの治療に使われる抗がん剤の副作用について、

薬剤ごとの副作用副作用ごとの症状と対処法を記載しております。

副作用は全ての方に起こるものではないこと、記載以外の副作用も起こりうることをご理解ください。

薬剤一覧

薬剤名をクリックすると、商品名・副作用がご覧いただけます。

治療がはじまる前に以下のことがあてはまれば、

医療者に伝えましょう!

 ★ 他に使っている薬がある(市販薬やサプリメント等を含む)

 ★ 薬による副作用の経験がある  

 ★ アレルギーがある(特にアルコール)  

 ★ 妊娠中・授乳中、将来妊娠を希望している

記号の見方

代表的な三つの副作用として、骨髄抑制、吐き気・嘔吐、脱毛については記号で記載し、その下に比較的起こりやすい副作用、もしくは起こりにくいが注意が必要な副作用を記載しました。

 

🌳 骨髄抑制(免疫力低下、貧血、血小板減少等) 
◎:よく起こる 

○:ときどき 

△:まれに
 

🌳 吐き気・嘔吐(吐き気症状の出やすさの程度) 

◎:起こりやすい 

○:起こりにくい

△:ほとんど起こらない
 

🌳 脱毛(ウィッグや帽子の必要度)
◎:必要 

○:一部必要~不要

​△:不要

骨髄抑制
吐き気

🌳 なぜ副作用について知っておいてほしいのか?
抗がん剤の治療は外来で行われることがほとんどです。そのため、副作用は家で過ごしている時に起こることが多いのです。あらかじめ、薬の副作用について具体的な症状やその発現時期知っていることで、


①   早く発見でき、早く対応ができる (早期発見・早期治療・重篤化の防止)

② セルフケア等で予防できることがある(特に感染症の予防は重要)
③   不安が軽くなる
④   自分の予定や計画が立てやすくなる

       

等のメリットがあります。わからないこと、不安なことは遠慮せず、気軽に医療者に聞いてみましょう。経験に基づく豊富な知恵を持っている治療経験者にも気軽に聞いてみましょう。

🌳 副作用ごとの症状と対処法

1.  骨髄抑制

①好中球減少:一般的に投与後10~14日目頃に最も少なくなります。

白血球中の好中球が減りすぎると感染症にかかりやすくなるため、特に上記の時期は人ごみへの外出を避ける等、感染の予防が重要です。

⇒こまめに手洗い、うがいを行う等、感染予防につとめましょう。

⇒抗菌薬を使い、さらに好中球を増やす薬を使うことがあります。

②貧血・出血 

⇒頻度は低いですが、重度の場合には輸血を行います。

 

2.  吐き気・嘔吐

  • 効果の高い吐き気止めの発売や、適切な使用方法により、以前よりも吐き気を抑えられるようになってきています。

  • 症状の出やすさや症状の発現時期、原因により吐き気止めを使い分けます。

⇒飲み薬、注射薬(点滴投与)、坐薬等があります。

3.  吐き気止めによる便秘

5-HT3受容体拮抗薬という吐き気止めによって便秘が起こります。

⇒あらかじめ下剤を処方されることが多いです。

 

4.  脱毛

  • 治療開始から2~3週間後に抜けはじめることが多いです

  • すべての体毛で起こります。

  • 個人差はありますが、投与が終われば6カ月程度で回復してきます。

⇒ウィッグや帽子、バンダナ等で対処します。

⇒あらかじめ、抜けても扱いやすい長さにすると処理しやすいです。

⇒まつ毛貧毛用目薬(保険適用外)市販のまつ毛美容液を使用する方もいます。

⇒頭皮冷却装置を用いて、抗がん剤投与に合わせて頭皮を冷やすことで脱毛を予防する方法があります。出来る施設は限られますので、希望される場合は抗がん剤開始前に主治医にご相談ください。

5. 心臓への影響(ドキソルビシン、エピルビシン 等)

症状:むくみやすい、息が苦しい、急に体重が増えた

⇒ あてはまれば、受診先に連絡しましょう。

 

6. 静脈炎・血管外漏出

(ドキソルビシン、エピルビシン、ビノレルビン、ゲムシタビン 等)

症状:点滴部位から血管に沿って痛みがある、赤く腫れてきた

​⇒点滴中、異常を感じたらすぐに医療スタッフに声をかけましょう

  • ビノレルビンは血管の外に漏れると重度の皮膚障害が起こりうるため、投与用のポートを造ることがあります。

  • ゲムシタビン投与時の血管痛は、溶解液の変更で軽減できることがあります。

7. 卵巣機能への影響(シクロフォスファミド等)

⇒妊娠の希望があれば、 治療前に主治医に将来への影響について聞きましょう。

 

8. 出血性膀胱炎(ドキソルビシン、エピルビシン 等)

ドキソルビシン・エピルビシンは薬が赤く、尿も赤くなりますが心配ありません。

症状:尿がでにくい、残尿感がある

⇒膀胱炎の可能性があるので、医療者に伝えましょう。

 

9. 過敏症状(パクリタキセル 等)

事前に予防のため薬(抗アレルギー薬等)を使います。

症状:(点滴中に)息が苦しい、ドキドキする、かゆい、皮膚にぶつぶつが出てきた

⇒すぐに医療スタッフを呼びましょう。

 

10. 末梢神経障害(パクリタキセル、ドセタキセル、エリブリン 等)

症状:手足の指がしびれる、ピリピリする、感覚がない

⇒飲み薬が処方されますが、効果は十分ではありません。

⇒感覚が鈍くなるため、怪我や火傷に気を付けましょう。

11. 浮腫(ドセタキセル 等)

症状:(投与を重ねると…)顔や手足がむくんでくる

⇒余分な水分を尿として出す薬が使われることがあります。

 

12.爪の変化・爪の周りの炎症(ドセタキセル等)

症状:形が変わる、黒っぽくなる、割れやすくなる、爪の周りが痛い

⇒ひどくなる前に保護の仕方、使ってもよいネイル等を医療者に聞きましょう。

⇒ドセタキセル投与時、爪の変化予防のため手足を冷却することもあります。

 

13.手足症候群(カペシタビン 等)

症状:(手足の皮膚が)赤くなる、硬くなる、ひび割れる、痛い

⇒症状が出る前から保湿クリーム等で乾燥を防ぎ、症状により炎症を抑える塗り薬を使います。

 

14.間質性肺炎(ジェムザール、パクリタキセル、エリブリン 等)

症状:痰が出ない咳、発熱、息切れする、息苦しい(風邪に似た症状)

⇒原因と考えられる薬を中止し、炎症を抑える薬で治療します。

 

15.関節痛・筋肉痛(パクリタキセル、ドセタキセル 等)

⇒痛みを軽くするために鎮痛薬や湿布薬を使うことがあります。

 

16.口内炎(フルオロウラシル、テガフール・ギメラシル・オテラシル等)

抗がん剤の直接的な作用の場合と免疫低下による場合があります。

⇒抗がん剤治療前に歯科受診しておきましょう。

⇒歯磨きやうがいで口の中を清潔にしましょう。

⇒炎症を抑える作用や局所麻酔作用の薬が入ったうがい薬や塗り薬が使われます。

⇒フルオロウラシルを投与するときに、投与前から氷で口の中を冷やすことで予防に効果があるとされています。

 

17.下痢(イリノテカン、フルオロウラシル、カペシタビン 等)

⇒腸内細菌のバランスを整える整腸剤や下痢止めを使います。

⇒水分・ミネラルを補給し、脱水を防ぎましょう。経口補水液もおすすめです。

⇒下痢がとまらない、水様便で回数が多い場合、水分摂取ができない場合はすぐに受診しましょう。

18.肝機能障害・腎機能障害

⇒採血で調べ、機能の低下があれば、必要に応じ、減量やお休み等で対応します。

 

19.倦怠感・疲労感

⇒症状が強いときは積極的に休息をとりましょう。

⇒ウォーキング、ストレッチ等軽い運動で改善するともいわれています。

 

20.味覚への影響

症状:味に敏感または鈍感になる、特定の味覚を強く感じる 等

⇒亜鉛不足による味覚の変化には亜鉛を補充する薬が処方されることもあります。

 

21.目の症状(ドセタキセル、テガフール・ギメラシル・オテラシル 等)

症状:涙がとまらない、見えにくい 等

⇒主治医に伝えましょう。必要に応じて、眼科受診となります。

【参考文献】

「患者さんのための乳癌診療ガイドライン 2016年版」  日本乳癌学会 編 金原出版

便秘
脱毛
心臓への影響
静脈炎・血管外漏出
卵巣機能への影響
出血性膀胱炎
過敏症状
末梢神経障害
浮腫
手足症候群
間質性肺炎
関節痛・筋肉痛
口内炎
下痢
爪の変化・炎症
肝腎機能障害
倦怠感・疲労感
味覚への影響
目の症状
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