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トリプルネガティブ乳がんと診断されたら・・・・

まずは基本的な治療の流れ、次にTNBC治療において重要である化学療法について詳しく説明しております。

さらに、昨今保険適応となった遺伝子検査についても掲載しております。

治療方針は患者様の病状や背景、病院や主治医の見解によって異なることがあります。また、病院によって出来る検査や治療が限られる事があります。ご自身でしっかりと考え、主治医と十分相談したうえで、納得のいく治療を受けましょう。

🌳  基本的な治療の流れ

🌳 2 化学療法

🌳 3 よくある疑問

🌳 4 遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)について

🌳 5 遺伝子パネル検査について

​1.基本的な治療の流れ
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初発、遠隔転移なし

非浸潤性乳管癌 または 浸潤がんでも0.5㎝以下の場合

➡ 手術のみ

 

浸潤がんで0.5㎝より大きい場合

➡ 術前(または術後)化学療法 + 手術 ± 放射線治療

※ 手術の術式、放射線治療の選択は、サブタイプによって違いはありません。

※ 化学療法の選択は、他のサブタイプは1㎝より大きい場合に行います。

さらに・・・

🌳 遺伝性乳癌を疑う場合

➡BRCA遺伝子の検査を行い遺伝子変異陽性であれば、乳房温存手術ではなく全摘手術、さらに乳がんの手術と同時に対側乳房切除、両側卵管卵巣切除を勧められる事があります。

詳しくは 4の項へ

🌳 治療後に妊娠・出産を希望(妊孕性温存)する場合

➡化学療法を開始する前に、受精卵凍結卵子凍結を行います。妊孕性温存とその温存した受精卵や卵子を用いた生殖医療に対して、保険適応はなく自費診療となりますが、自治体から助成金が受けられることがあります。対象者や内容は自治体によって異なります。

上記の治療が終わったら、TNBCは基本的には無治療で経過観察を行います。

 

遠隔転移あり

骨転移・脳転移がない場合

➡ 化学療法

骨転移・脳転移がある場合

➡ 化学療法に加え、放射線治療を行うことがあります(脳転移に対するガンマナイフなど)。

治療の流れ
​2.化学療法
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※薬剤名は、一般名で表記しています。

​※薬剤名をクリックすると、商品名、副作用が表示されます。

 副作用表示の見方は、”副作用”のページに記載しております。

※投与方法の記載について 

 例)3週ごと、4サイクル

       →3週間に1回投与を4セット行う

🌳 術前・術後補助化学療法

術前・術後化学療法(補助化学療法)は、再発・転移の予防を目的とした治療で、化学療法が良く効く場合には、再発は非常に少ないといわれています。推奨される薬剤を用いて、副作用対策をしっかりと行い、可能な限り減量・延期せずに行うことが大切です。

 

TNBCに推奨される補助化学療法は、アンスラサイクリン系+タキサン系で、順番はどちらが先でも差はないとされています。

現在はdose-dence療法が一般的です。

現在TNBCの最も一般的な補助化学療法

術前化学療法として

dose-dence AC(EC)+  dose-dense PTX

→AC(EC)を2週間ごとに4サイクル、その後PTXを2週間ごとに4サイクル(約4カ月)

※ 抗がん剤投与の翌日に、G-CSF製剤(ジーラスタ)を毎回投与

dose-dense療法(ドーズデンス療法)

 通常3週おきに行う化学療法を2週おきに行う治療法で、特にトリプルネガティブ乳がんの補助療法としては一般的になってきました。これまでの研究で、dose—dense化学療法群は再発率、死亡率を低下させる事が示されているため、乳癌診療ガイドラインでも ”再発リスクが高くかつ十分な骨髄機能を有する症例には強く推奨” とされています。効果は高いものの副作用は強いため、骨髄抑制の予防としてG-CSF製剤(ジーラスタ)を必ず投与するなどの対策を行います。

■ アンスラサイクリン系

ドキソルビシンエピルビシン

 

アンスラサイクリン系は、単剤よりも下記の多剤併用療法が推奨されます。

【AC療法】A:ドキソルビシン+C:シクロフォスファミド

→2~3週ごと、4サイクル。

【EC療法】E:エピルビシン+C:シクロフォスファミド

→2~3週ごと、4サイクル

【FEC療法】F:フルオロウラシル+E:エピルビシン+C:シクロフォスファミド

→3週ごと、4サイクル

■ タキサン系

ドセタキセルパクリタキセル

タキサン系は、一般的には単剤で使用されます。

ドセタキセル 

→2~3週ごと、4サイクル。

パクリタキセル

→毎週、8~12サイクル。または2~3週おき、4サイクル。

心疾患でアンスラサイクリンが使えない場合などは多剤併用を行うこともあります。

【TC療法】T:ドセタキセル+C:シクロフォスファミド

→3週ごと、4サイクル

補助化学療法としてペムブロリズマブと、

ペムブロリズマブと併用して使用する場合にのみカルボプラチンが保険適応となりました

免疫チェックポイント阻害剤であるペムブロリズマブ(商品名:キートルーダ)は、2021年にPD-L1陽性 再発・転移TNBCに対して保険適応となっていましたが、2022年9月26日、再発高リスクのTNBCにおける術前・術後薬物療法にも承認されました。

あわせて、ペムブロリズマブと併用して使用する場合のみ、カルボプラチンも保険適応となりました。

 

当会が発足当初より保険適応を願っていたカルボプラチンが保険適応となりましたが、今回の保険適応ではペムブロリズマブと併用しなくては使用できません。ペムブロリズマブの副作用には不可逆性(治療が終了しても改善しない)のものがあり、これまでペムブロリズマブを使用しなくても再発しない症例が多くいる中で、今後、再発高リスクの症例全てに使用することには懸念の声があります。どの症例に使用するべきか、今後さらなる検討が求められています。

ペムブロリズマブ併用療法

再発高リスクのTNBCに対し、術前に下記の抗がん剤と併用で投与した後、術後はペムブロリズマブ単剤で投与を継続

※再発・転移乳がんへの適応と違い、PD-L1発現の有無は問いません!

※再発高リスクの基準

以下は臨床試験で対象となっていた患者さんの基準であり、実際は主治医の判断のもとで適応を判断します。

  • 大きさが1~2cmで、リンパ節転移があり、遠隔転移がない場合(TNM分類:T1cかつN1,2、M0)

  • 大きさが2cmより大きく、リンパ節転移の有無は問わず、遠隔転移がないがないか、あっても腋窩と内胸リンパ節転移のみの場合(TNM分類:T2~4、N0~2、M0)

  ※鎖骨周囲のリンパ節に転移がある場合(N3)は基準外です。

 

術前化学療法:

①ペムブロリズマブ+カルボプラチンパクリタキセル

 ↓

②ペムブロリズマブ+ACまたはEC

 ↓

 手術

 ↓

術後化学療法:

ペムブロリズマブ単剤

投与間隔:

カルボプラチンパクリタキセル

→毎週、12サイクル または 3週ごと、4サイクル

 

ACまたはEC

→3週ごと、4サイクル

 

ペムブロリズマブ

3週間間隔投与の場合、術前に抗がん剤と併用で8回まで、術後単剤で9回まで

→6週間間隔投与の場合、術前に抗がん剤と併用で4回まで、術後単剤で5回まで。

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🌳 転移性TNBCの薬物療法

肺、肝臓、骨、脳などの遠隔臓器に転移しているTNBCを転移性TNBCといいます。転移性の場合、リンパ節転移を除き転移巣の外科的切除は予後を延長しないことが示されており、化学療法を行います。転移して初めて行う治療を1次治療といい、効果があれば副作用を見ながら同じ薬を繰り返し使用します。効かなくなった時は薬を変更していき、2次、3次治療とよんでいきます。

 

がんとより良く共存を目指すための治療で、これまで構築されたデータをもとに患者様の状態や希望によって薬剤を選択し、投与量や間隔を決めていくことが大切です。

1次治療

アンスラサイクリンとタキサンを初期治療で使っていない場合

まずそれらから使います。アンスラサイクリンには心毒性があり、投与できる回数に制限があるため、効果があっても6回程度で次の治療に切り替えます。

アンスラサイクリンとタキサンを初期治療で使っている場合

免疫チェックポイント阻害剤であるアテゾリズマブ(商品名:テセントリク)が2019年9月に保険承認されて以降、転移性TNBCの治療は大きく変化しました。さらに2021年にはペムブロリズマブ(商品名:キートルーダ)も保険承認され、治療の幅が広がりました。

 

免疫チェックポイント阻害剤を用いた1次治療は、現在ガイドライン上は推奨度2(弱く推奨)であり、1次治療でどの薬剤を選択するか施設間で差はありますがますが、徐々に免疫チェックポイント阻害剤を使用する流れとなっています。

1.手術または針生検などで採取してあるがん細胞を用いて、病理検査でPD-L1を調べます。

TNBCの中でPD-L1陽性の患者さんは約4割といわれいます。

PD-L1陽性なら・・・

免疫チェックポイント阻害剤+抗がん剤

アテゾリズマブペムブロリズマブ

アテゾリズマブナブパクリタキセル

→4週間で1サイクル

第1、3週はアテゾリズマブ+ナブパクリタキセル

第2週はナブパクリタキセルのみ

第4週は休薬

ペムブロリズマブゲムシタビンカルボプラチン

ペムブロリズマブパクリタキセル

ペムブロリズマブナブパクリタキセル

→3週間または6週間で1サイクル 

PD-L1陰性なら・・・

ナブパクリタキセルベバシズマブ

→4週間で1サイクル

第1、3週はnab-PTX+Bev

第2週はnab-PTXのみ

第4週は休薬

テガフール・ギメラシル・オテラシル 

錠剤

→1日2回4週間内服後、2週間休薬

2.遺伝性乳癌が疑われる場合は、遺伝子検査でBRCA変異も調べます。

BRCA変異が陽性の場合のみPARP阻害剤というオラパリブという薬を使うことができます。

化学療法に比べて副作用が少ないため、この薬が効く場合は長期間の良好なQOLも期待できます。デメリットとしては、変異陽性であれば家族に遺伝している可能性を知ることとなりますので、十分な遺伝カウンセリングを実施した上での検査が必須となります。また、TNBCの中でBRCA変異陽性の患者さんは数%と少ないため、使用できる患者さんはかなり限られてしまいます。現在、補助療法としても臨床試験が行われております。

オラパリブ

錠剤

→1日2回内服、毎日

2次以降の化学療法

 1次治療に記載の薬で使わなかったものをまず使用し、その他に使えるものとしてカペシタビン、エリブリン、ゲムシタビン、ビノレルビン、イリノテカンがあります。

カペシタビン】 錠剤 

→2~3週間内服後、1週間休薬

エリブリン

→毎週、2週連続投与1週休薬

ゲムシタビン 

→毎週、2週連続投与1週休薬

ビノレルビン

→毎週

イリノテカン 

→毎週、3週連続投与1週休薬

化学療法
​3.よくある疑問
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Q.ドセタキセルかパクリタキセルかの選択は、どのように決められるか?

A.治療効果に差はなく、副作用や投与方法の違いにより、患者様の背景で決められている事が多いようです。

 ドセタキセルは3週おきで末梢神経障害が少ないという利点がありますが、骨髄抑制がパクリタキセルより強くでます。一方、パクリタキセルは骨髄抑制が少ないことが利点ですが、末梢神経障害が強く出る事や、投与間隔が1週間おきなため、手先が痺れると困るお仕事の方や、通院が頻回にできない方、点滴の管が入りにくい方にとっては辛い治療となる可能性があります。ですが、転移・再発乳がんの場合はパクリタキセルのみベバシズマブを併用して使用できるため、選択されることがあります。

 

Q.術前、術後どちらがよいか?

A.多くの臨床試験が行われ、どちらであっても生存率に差はないことが示されています。

 術前に行うことにより乳房温存率が上昇する一方、術前化学療法中に病状が進行する症例(PD症例)が3~6%あります。一部の臨床試験でPD症例の再発率が上昇し生存率も低下したというデータがありますが、多くの臨床試験を解析すると、術前、術後で生存率に変わりがないことが示されています。ガイドラインでは、腫瘍径が大きく乳房温存手術が困難な浸潤性乳癌で乳房温存手術を希望する患者に対しては、乳房温存を目的に術前化学療法を勧めてもよい、とあります。

 

Q.温存、全摘、どちらがよいか?

A.トリプルネガティブだからといって、全摘の方が良いと言う事はありません

 術前化学療法後であっても、腫瘍の大きさと位置から温存可能であれば、温存療法による局所再発率の上昇は認められないとされています。しかしながら、BRCA1変異陽性の遺伝性乳癌の場合、全摘が勧められることがあります。BRCA変異陽性乳癌は乳がん発症率が高い遺伝性乳がんです。治療後も患側、健側ともに残存した乳腺に乳がんが発症(再発)する可能性が高くあります。術前に遺伝性乳癌と確定していた場合、患側は全摘を勧められることがあります。健側は頻回の検診が推奨されています。

 

【参考文献】科学的根拠に基づく 乳癌診療ガイドライン ①治療編 ②疫学・診断編 2015年版  日本乳癌学会 編 金原出版

よくある疑問
HBOC
​4.遺伝性乳がん卵巣がん症候群;HBOC
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🌳 遺伝性乳がん卵巣がん症候群とは?

「家族が乳がんであれば乳がんになり易い」と聞いた事があると思いますが、実際、乳がん患者の中で遺伝が影響している割合は約1〜1.5割といわれいます。その8から9割に、 遺伝性乳がん卵巣がん症候群(Hereditary Breast and Ovarian Cancer syndrome: HBOC)といわれる、体質的に乳がんや卵巣がん、もしくは卵管がん、腹膜がんを発症しやすい方が含まれています。約4〜8割で比較的若いうちに乳がんを発病し、5割程度の人は対側も乳がんになる可能性があります。男性であっても乳がんになるリスクがあります。さらに女性であれば卵巣がんになる可能性も高く、その発病率は15〜40%といわれています。

 

HBOCにはBRCA1とBRCA2という遺伝子が関わっており、遺伝子検査を行ってBRCA1/2どちらかの遺伝子変異が陽性であると、HBOCと診断されます。乳がん患者さんの場合、陽性であれば健側を含めた両側乳房全摘手術、卵巣卵管摘出術の考慮、再発時にPARP阻害剤であるオラパリブが使用できるなど、治療の方針に影響します。

 

遺伝子検査は、血液検査で行います。この遺伝子変異は2分の1の確率で子供に受け継がれます。つまり、ご自身が陽性であった場合、お子さんを含む血縁関係の方が同じHBOCである可能性を知ることとなります。検査を受ける前に遺伝カウンセリングをしっかりと受け、この検査のメリット、デメリットをしっかりと知ることが大切です。

🌳 HBOCとTNBCの関係

サンアントニオ乳がん学会(2016)での発表によると、乳がん全体に占めるBRCA変異陽性の数は1割程度ですが、BRCA変異陽性患者のうちTNBCの割合は5割と、他のサブタイプに比べて高い割合です。BRCA変異陽性と陰性では、再発率、全死亡率の差は無いと報告されていますが、これはあくまでも一つの研究の結果であり、断言はできません。

🌳 遺伝カウンセリングとBRCA遺伝学的検査、リスク低減乳房切除術・乳房再建術、リスク低減卵管卵巣摘出術が、一部の対象患者さんに保険適応となりました‼

令和2年4月から遺伝性乳がん卵巣がん症候群(Hereditary Breast and Ovarian Cancer syndrome:HBOC)に関連する診療の一部について保険診療が認められることになりました。
 

これまで、HER2陰性進行再発乳がん患者さん、卵巣がん患者さんを対象に、PARP阻害薬の適応を決めるためのコンパニオン診断として BRCA遺伝学的検査(BRCA1/2 遺伝子検査) 、遺伝カウンセリングが保険診療として行われてきました。
 

この度、乳がんや卵巣がんの既往またはこれから治療する患者さんに対しても、一定の条件を満たした患者さんにおいては、遺伝カウンセリングとBRCA遺伝学的検査が保険で行えるようになりました。さらにBRCA遺伝子に変異が認めれた場合、やはり一定の条件を満たした患者さんにおいてのみではありますが、リスク低減乳房切除術・乳房再建術とリスク低減卵管卵巣摘出術も保険で行えることになりました。予防的な臓器切除の保険適用は、日本では初めてのことです。またこれまで通り、条件に当てはまらない方も、自費での診療であれば受けることができます。
 

どの施設でも検査や手術が受けられるわけではなく、HBOCに精通した医師、乳腺専門医、婦人科腫瘍専門医、臨床遺伝専門医、認定遺伝カウンセラーが所属する施設やその連携施設でのみ、実施可能です。

 

では私達TNBC患者は、どういった条件において保険で実施可能なのでしょうか。日本乳癌学会のホームページにあります診療の手引きを参考にまとめてみました。この診療の手引き内には、HBOCの基本的知識なども記載されております。

<日本乳癌学会ホームページ>
遺伝性乳がん卵巣がん症候群の保険診療収載に伴う遺伝カウンセリング・BRCA遺伝子学的検査とリスク低減乳房切除術・乳房再建術とリスク低減卵管卵巣摘出術について
https://www.jbcs.gr.jp/uploads/files/citizens/2_hboc_fc_re.pdf

※注意点※

 ご自身が遺伝子検査を保険診療で受けて変異陽性であった場合、娘さんや姉妹の方など、心配になりますよね。ですがそのご家族は、乳がんも卵巣がんも発症していないとなると、検査も手術も自費診療となってしまいます。

 また、以前に自費で遺伝子検査を受けられて変異陽性だった患者さんの中には、ご家族も検査を受けられてBRCA変異陽性が判明したケースもあるかと思います。ご自身の予防手術が保険適応となっても、ご家族は変異陽性であっても乳がんも卵巣がんも発症していない方は自費診療となってしまいますので、ご注意ください。

🌳 遺伝カウンセリングとBRCA遺伝学的検査が保険適応となる方

保険が適応となる方は、すでに乳がんや卵巣がんと診断され治療されている方、あるいはこれから治療を受けられる方で、乳がんの方の中では、以下の1.から7.の条件の いずれかを 満たす方です。

  1. 45 歳以下で乳がんと診断された方

  2. 複数回乳がんと診断された方(同じ側の乳房、または両側の乳房が含まれます)

  3. 60 歳以下でトリプルネガティブ乳がんと診断された方

  4. 卵巣がん、卵管がんや腹膜がんと診断された方

  5. 血縁関係にある方に乳がんや卵巣がんの家族歴を持つ方(姉妹や兄弟、子供、両親、祖父母とその姉妹と兄弟、従姉妹、従兄弟まで含まれます)

  6. 男性乳がんと診断された方

  7. 転移・再発乳がんで PARP阻害薬に対するコンパニオン診断の適格基準を満たす方​

TNBC患者さんの中では、どんな人が対象?

60歳以下の発症

⇒保険診療となります!

61歳以上で発症

⇒以下の条件のどれか1つでも当てはまれば保険診療となります。

  • 両側乳がん または 同じ乳房内に2個以上の原発乳がんができた方

  • それぞれのがんができた時期が同時でなくてもOK。

  • 片方がルミナールタイプでもOK。

  • 衛星結節、乳房内転移、局所再発などは2個以上の原発ではないのでNG

  • 血縁関係にある方に乳がんや卵巣がんの家族歴を持つ方(姉妹や兄弟、子供、両親、祖父母とその姉妹と兄弟、従姉妹、従兄弟まで含まれます)

  • 男性乳がん

🌳 リスク低減乳房切除術・乳房再建術、リスク低減卵管卵巣摘出術が保険適用となる方

保険が適用となる方は、以下の条件を 全て満たす方 です。

  1. すでに乳がんや卵巣がんと診断され治療されている方、あるいはこれから治療を受けられる方

  2. 以下の条件の いずれか を満たす方

    • 45 歳以下で乳がんと診断された方

    • 複数回乳がんと診断された方(同じ側の乳房、または両側の乳房が含まれます)

    • 60 歳以下でトリプルネガティブ乳がんと診断された方

    • 卵巣がん、卵管がんや腹膜がんと診断された方

    • 血縁関係にある方に乳がんや卵巣がんの家族歴を持つ方(姉妹や兄弟、子供、両

    • 親、祖父母とその姉妹と兄弟、従姉妹、従兄弟まで含まれます)

    • 血縁関係にある方に BRCA1または BRCA2遺伝子に変異があると知らされている方

    • 本人や血縁関係にある方が男性乳がんと診断された方

  3. HBOCについて遺伝カウンセリング、BRCA遺伝子検査を受けて BRCA1または2 の遺伝子に病的変異が認められた方

TNBC患者さんの中では、どんな人が対象?

 

■遺伝子検査を保険適応で受けた方

⇒BRCA遺伝子変異陽性であれば、手術も保険診療となります!

 

■遺伝子検査を自費で受けた方

(保険適応以前に自費で受けた方、または保険適応外のため自費で受けた方)

⇒BRCA遺伝子変異陽性 かつ、

60歳以下の発症

⇒保険診療となります!

61歳以上で発症

⇒以下の条件のどれか1つでも当てはまれば保険診療となります。

  • 両側乳がん または 同じ乳房内に2個以上の原発乳がんができた方

  • それぞれのがんができた時期が同時でなくてもOK。

  • 片方がルミナールタイプでもOK。

  • 衛星結節、乳房内転移、局所再発などは2個以上の原発ではないのでNG

  • 卵巣がん、卵管がんや腹膜がんと診断された方

  • 血縁関係にある方に乳がんや卵巣がんの家族歴を持つ方(姉妹や兄弟、子供、両親、祖父母とその姉妹と兄弟、従姉妹、従兄弟まで含まれます)

  • 男性乳がん​

🌳 遺伝子パネル検査とは?

がんのもつ遺伝子の特徴を調べる検査です。がんに関連する遺伝子の変化を複数同時に測定する検査で、主に治療と関連するがん遺伝子の変化を効率的に解析することが可能です。この検査により、そのがんに特有の遺伝子の変化が見つかった場合、その変化に対応して効果の期待できる治療が行える可能性があります。しかし、すべての遺伝子の変化に対して抗がん薬があるわけではありません。具体的な治療薬が見つかった場合でも、それらの治療が保険診療で実施できるとは限らず、治験や保険適用外となる可能性があります。日本および海外のがん遺伝子パネル検査の研究データから、全体で治療と関連する遺伝子の変化が見つかる可能性は5割程度と言われています。ただし、そういった遺伝子の変化が見つかっても、実際にその結果に基づいた治療が実施された患者さんは、全体の1割から2割程度、乳がんに関しては5~7%であったと言われています。

 

■ 保険適応で検査ができる対象  

令和元年6月1日に「OncoGuide NCCオンコパネル 」および「FoundationOne CDxがんゲノムプロファイル」の2種類が保険収載されました。

 

乳がん患者さんの中で保険診療となる対象は、

  • 局所進行乳がんで標準治療が効かなくなってしまった患者さん

  • 遠隔転移のある乳がん患者さんで、標準治療が効かなくなってしまった患者さん

 

上記いずれかに該当し、さらに肝臓の機能や全身状態から今後の治療に耐えられる状態と主治医が判断した患者さん、となっています。

 

■ 検査方法  

手術で摘出されたがん組織、または、組織生検で採取されたがん組織のうち、保存されている物を使います。原則として3年以内のものが検査に適しています。保存されているがん組織が古い場合や、十分な量がない場合には、新たな採取が必要になることもあります。また、NCCオンコパネル検査では、正常組織との対比を行うため、血液検査も同時に行います。検査を開始してから結果が出るまでには、4~6週間かかるといわれています。

 

■ 費用  

保険適応対象の患者さんで患者負担割合が3割の場合は16万8千円になります(10割で56万円)。その他、検体の準備等の費用が追加で必要となります。高額療養費制度の対象となる場合があります。

 

■ 実施可能な施設と受診方法 

がん遺伝子パネル検査は、全国11施設のがんゲノム医療中核拠点病院、または全国156施設のがんゲノム医療連携病院で受けることができます。受診の際には、これまでの治療経過を記載した紹介状や、検査のための病理組織検体などが必要になりますので、まずは、かかりつけの医療機関の主治医と相談してください。

 

■ この検査で判明した遺伝子の異常は、家族に遺伝するのか?

がん遺伝子パネル検査は、がん細胞や組織に生じる遺伝子の変化を検出するので、原則的には家族性腫瘍に関する遺伝子の変化を検出の対象としていません。しかし、特にNCCオンコパネルはご本人の血液検査を行うことで、生まれ持った家族性腫瘍に関連する遺伝子の異常が見つかる可能性があります。これらの情報をもとに、ご本人以外の血縁者にもがんが発症する家族性腫瘍の可能性が指摘される場合があります。不安に思われる方は、検査前に主治医の先生とよく相談してください。また、家族性腫瘍についての不安を検査前にもたれる場合や家族性腫瘍に関わる検査結果が認められる場合には、遺伝カウンセリング外来でのご相談も可能です。

参考文献:国立がん研究センター中央病院 ホームページ  https://www.ncc.go.jp/jp/ncch/genome/050/index.html

​5.遺伝子パネル検査について
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遺伝子パネル検査
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